照明の基本          

照明操作の基本
照明は、役者の演技と舞台装置を見せるだけでなく、様々な情報を観客に与える役割を担っています。 特に「時の経過」を表現するのに、照明は重要な役割を果たします。

照明機材の光量をコントロールすることを「調光」といいます。
変化のしかたの違いを表す言葉には、以下のようなものがあります。

・カットイン(CI)=照明をパッと入れる
・カットアウト(CO)=照明をパッと消す
・フェードイン(FI)/溶明=だんだん明るくしてゆく
・フェードアウト(FO)/溶暗=だんだん暗くしてゆく
・クロスフェード(CF)/オーバーラップ(OL)
  =シーンAからシーンBへ時間をかけて変化

暗転=前の場面から次の場面へ転換する際、照明を消して舞台上を真っ暗にする
ブルー(暗)転=前の場面から次の場面へ転換する際、照明を暗めのブルー明かりにする
明転=前の場面から次の場面へ転換する際、照明を消さずに装置の転換等を観客に見せる

特別な照明装置を仕込まない教室公演では、天井の蛍光灯の操作程度になるでしょう。
蛍光灯の照明は「調光」=光量の無段階変化ができないため、CI/COとなります。
どの学校にも1台くらいははフォローピンスポット(ピンスポ)があるかと思います。 全体照明のオン/オフに、ピンスポによるスポット照明を効果的に挟んだりして、シーン作りを行います。

 ◆校内公演◇照明

教室に調光器を持ち込み、舞台用の照明を仕込んだ場合や、 大会での上演では劇場・ホールの調光卓を使用することになるので、 FI/FOなど様々な照明操作が可能になります。

 ◆大会での上演◇照明

舞台照明の種類

高校演劇でも使用することの多い照明は、以下の通りです。

地明かり
舞台の真上から床、舞台装置全体を照らします。
白色光だけでなく、カラーフィルターを仕込んで色付けした地明かりを使うこともあります。
青色の地明かり
「暗闇の場面」は、青の地明かりで「暗さ」を表現しつつ、役者の演技自体はしっかり見せます。 演劇には「舞台上の暗い所=”見えない所”として扱う」「真っ暗=場面転換中」などいくつかの"暗黙の了解"があります。 本当に真っ暗な中で延々と芝居が続く(実際何も見えず、声だけが舞台上に響き続ける)のは、 そうした伝統的な約束を壊すので、あまりお勧めできません。 (もちろん厳密なルールがあるわけではないので、演出上必要と思われるならナンデモアリですが。)
赤色の地明かり
夕暮れ、火事、空襲のシーンなどに使います。 地明かり、前明かり、ホリゾントまですべて真っ赤にしてしまうと、相当強烈な印象になります。 ほどほどに。

前明かり(FR,CL)
客席側から舞台上を狙って照らします。
ホールでの上演で照明初心者がよくやるミスは、地明かりだけ照らして前明かりを作らないことです。 地明かりだけでは、役者がちょっと下を向いたりするだけで顔に影ができ、表情などを見せることが難しくなります。
また、役者が緞帳の位置より前へ出てきて演技すると、地明かりでは役者の背後からしか照らせないので、 前明かりがないと身体全体が真っ暗(シルエット)になってしまいます。

ステージサイドスポット(SS)
舞台袖から水平方向に照らします。


トップサス(Tsus)
世間でいうところの「スポットライト」のこと。
舞台の真上から吊るのでトップサス(Tサス)といいます。
地明かり、前明かりを消して人物等をTサスで浮かび上がらせると非常に強い効果を生みます。

 左=Tサスのみ     右=Tサス+顔当て

フォローピンスポット(Pin)
いわゆるピンスポ。人物を追って動かす使い方(フォロー)が多いです。
調光卓で操作するのではなく、独立したオペレーターが、大きな灯体を直接動かして操作します。 そのため、ピンスポを使う場合は、専用の係を使う数だけ割り当て必要があります。


その他の照明
・ホリゾントライト ホリ幕を染める
・フットライト 足下から役者を照らし、ホリ幕に影を作る
・目つぶし 客席に向かってまぶしい光を照らす
・ソースフォー(エリスポ) 四角く切り取った照明、虫食い模様など
・エフェクトマシン(雲・雨、波・炎 など)
・ミラーボール
・ストロボマシン
詳細は「大会での照明②」を参照してください。