教室を劇場に!
非日常的な空間を作る
普通教室などで公演を行うにあたって、「演劇的な空間」を演出するのは重要なことです。
非日常的「異空間」を作ることが、観客を演劇の世界に引き込む第一歩となります。
普段見慣れた黒板、掛時計、ストーブ、ロッカーなどは可能であれば覆いましょう。
袖幕や大道具で隠せれば一石二鳥です。
窓を段ボールで目張りし、暗幕を垂らそう
パネルと暗幕で「袖」「ホリゾント」を作ろう
正面の掛け時計を外そう(隠そう)
体育館や視聴覚教室など、暗幕を備えていて比較的簡単に「暗転状態」を作れる所は便利ですが、
そうでない場合も、学校中の暗幕カーテンをかき集めて、教室の壁をくまなく覆いましょう。
教室を暗くできると、
・緞帳がなくても、開演、終演を明確化しやすい。
・上演中、暗転処理をすることができる。
・各照明の効果が増す。
といったメリットがあります。
開演前にブザーを「ブーッ」と鳴らし(音響のひとつとして用意しておきます)、
アナウンスを入れ、教室を「真っ暗」にできると、お客さんが「おお~っ」と小さくどよめきます。
この小さなどよめきができれば、それだけで「つかみ」はばっちりです。
教室に備え付けのカーテン、理科室などから借りた暗幕を垂らすだけではカーテンの上下から天井・床に光が差し込み、
完全には暗くなりません。
ガラス窓に段ボールを隙間なく貼り付けると、相当高い効果が得られます。
(新聞紙は手に入れやすいのですが、2~3枚重ねた程度では薄くて効果がなく、しかもかなり手間がかかります。)
入口の外には「受付」を設置しましょう。受付があると、ただの教室も、ぐっと劇場らしく見えてきます。
単なるイメージ作りだけでなく、受付係は、開場前の観客の誘導、パンフレット・アンケートの手渡し/回収、
上演中の客の出入りをコントロールしたりなど、校内公演でも重要な役割を演じます。
◆役割分担◇制作担当►
養生をする
教室公演では、床や壁に対する養生にいくつかの注意が必要です。
布ガムテープとクラフトテープ
紙製のクラフトテープと布ガムテープは似ていますが、使い勝手が全く違います。
紙クラフトテープは段ボール箱作成用のテープであり、剥す時に粘着面が残りやすくて非常に面倒です。
また、布ガムテではある程度の強度が出る「重ね貼り」ができません。
原則として演劇では布ガムテを使う、と覚えてしまって構いません。
床、壁へのテープ貼り
学校の教室の壁は、たいていは非常に剥がれやすい塗装が塗られています。
布ガムテの強力な接着力は、壁の塗装を簡単に剥してしまいます。
原則として、壁・床へのガムテ貼りはしないようにしましょう。
窓ガラスに直接張るのも避けましょう。
どうしても壁・窓ガラスに布ガムテを貼りたい場合は、まず養生テープを貼り、
その上から布ガムテを貼ってください。
粘着強度は落ちますが、自立した大道具の転倒防止程度の強さは得られるでしょう。
(養生テープを剥す時もゆっくり丁寧にやってください。)
客席の工夫
客席に傾斜がついた視聴覚教室などが理想的ですが、普通教室等で上演する場合は、
どうしても観客の頭の位置がかぶり、何列もの客席を設けることができません。
最前列は床に座布団、2列目は低いイス(あるいはその代わりになるもの)、3列目は教室のイス、
4列目は机の上+座布団(ちょっと行儀悪いですが)……といった工夫をするなどして、
観客の目線の段差を付けるとよいでしょう。