仕事内容
かっこいい言い方をすれば、演劇における芸術上の責任者です。
作品全体に統一性を与え、まとめ上げます。映画で言えば「監督」に相当する仕事です。
生徒創作作品の場合、作者が演出担当を兼ねることも多いようです。
部員数に余裕があるなら、できれば演出担当はキャストを兼ねないのが理想です。
ただし、一人の人が作・演出・役者を兼ねることで作品全体の統一感が生まれ、
いろいろなことがうまくいくこともあります。
(プロの劇団でその形を取って成功している所もたくさんあります)
そのあたりは臨機応変で。
演劇はもちろん関わった人全員で作り上げるものですが、「船頭多くして船山にのぼる」の言葉通り、
役者・スタッフがバラバラな理解のもと、それぞれ勝手に動いては良い芝居になりません。
演出担当は「どんな(方向性の)作品にしたいのか」という点に関して最終的な決定権を持ち、
役者やスタッフは原則としてそれに従います。
役者やスタッフが反対意見を言ってはいけないという意味ではありません。
「良い芝居を作る」ため、議論をたたかわせることは良いことです。
ただし、意見が割れた時は演出担当の提示した方向性に従います。
脚本の理解(解釈)・演技指導
ある場面の意味、登場人物のセリフの意味、それを語る時の心情などについて、指示を出します。
役者自身の「役作り」や脚本の解釈は重要であり、尊重すべきですが、
演出担当の考える方向性と役者の理解が異なりお互い平行線をたどるようなる場合は、
演出担当の考える方向性を尊重すべきです。
◆基本編◇稽古・演出►
作品世界・舞台空間のイメージ化
実際の造型・具体化については各スタッフの技術力にもよりますが、
その大元となる舞台装置のイメージ、音響照明のイメージ、衣装のイメージなどをスタッフに伝えます。
もちろん、各スタッフの意見も十分に尊重し、汲み上げます。
シーン割り・練習計画
取り組む作品のどこを重要視し、どこを作り込むかについて検討し、
与えらえた練習期間内に芝居が完成するよう計画を立てます。
演出と舞台監督
芝居作りに責任を持つポジションには「舞台監督►」もいます。
舞台監督は、芝居作りの過程で発生する実務的な問題を処理するポジションです。
「演出」担当は、演劇の作品(堅く言えば芸術作品)としての質を高める役割を担います。
1シーンを何回練習するかとか、装置や効果にどこまで高い要求をするかといったこだわりは、
作品をスケジュール通りに制作する営みとは正反対の圧力です。
現実的には舞台監督と常に意見交換をし合って、理想と現実の間の落としどころを探ることになるでしょう。