創作脚本にチャレンジ     

創作脚本の魅力
オリジナル脚本の魅力はなんといっても あて書き~今いる部員の人数・個性を最大限引き出せる
オンリーワン~世界でひとつの"私たちだけの作品"
自由自在~自分のやりたいことができる!

序破急・三幕構成
物語の構造というと「起承転結」を考えることが多いかもしれません。 それはそれで有意義なのですが、スピーディーな昨今の演劇では(60分制限のある高校演劇ではなおさら) 「序破急」に対する感覚を大切にしましょう。
これは映画・ドラマの脚本における定番構成と言われる「三幕構成」ともほぼ合致します。

 序/第一幕=主人公の状況説明
       当面解決すべき「課題」が提示される
       課題解決を阻害する「敵」の登場
 破/第二幕=「敵」との対決
       仮の敗北(仮の勝利)まで
 急/第三幕=結末。主人公の課題解決(または失敗)

優れた演劇作品は、自然と「序破急」もしくは「三幕構成」の構成を持っていることが多いものです。
劇の序盤で主人公が抱えることになる「課題」(セントラル・クエスチョン)を観客に受け入れられると、 一本筋の通った感じの劇になることが多い。
終盤における敵対者との対決がクライマックスを、 仮の敗北がカタストロフィ(=破)を作り、劇を自然と盛り上げます。
(このセオリーを逆手に取って"わざと外す"作品もありますが。)

プロットを作ろう
物語のおおまかな流れをプロットと言います。
勢い重視でいきなり台詞を書き出すのもアリですが、途中で行き詰ってしまうことを防ぐため、 プロットをあらかじめ作っておくことは有効です。

(例)「こぶとり爺さん」
①正直じいさんが鬼の宴会に出くわし、踊る
②鬼が喜び、宝物を与えた上、こぶを奪う
③隣の爺さんが真似して鬼の宴会に行く
④殴られた上、余計にこぶを返される
(例)「花咲爺さん」
①正直爺さんの犬が吠えた所を掘る→②宝を掘り当てる
①臼で餅をつく→②黄金の餅
①灰を撒く→②枯れ木に花が咲き殿に褒美をもらう
③隣の爺さんが犬を借りる→④ゴミが出る ③臼を借りる→④汚物の餅 ③灰を撒く→④殿に灰がかかって罰せられる

二つの話は大きく異なりますが、ほぼ同じプロットと言えます。
①②正直者/勤勉な者の幸運と成功
③不実な者/怠惰な者による表面的な模倣
④不実な者/怠惰な者の破滅

プロット自体には著作権はありません。
同じプロットでも、具体的なストーリーに相違/創意があればそれぞれ別作品とされます。
有名作品のプロットを参考にして、オリジナル作品を創るのは悪いことではありません。
(丸パクリはもちろんダメ!)
オリジナルとして書いてみたものの、どうしても参考にした作品が透けて見えてしまう時は、 潔く<翻案>として、原作者に翻案および上演許可を得るというのもひとつの手です。
優れた翻案作品は、原作付きであっても創作活動の一種とみなしてもらえます。
このあたりは「著作権」のページも併せてお読み下さい。

人物関係を作ろう
演劇は、直接的には「登場人物」の関係性の変化によって物語を進めていきます。 魅力的な登場人物が織りなす人間関係は、魅力的な演劇の重要ポイントです。
有名作品の多くは、各登場人物が物語を進める上でそれぞれ重要な「役どころ」を担っています。

 主人公~多くの場合、観客の感情移入の対象。
  ※どちらかというと状況に翻弄され、奮闘する。
  ※物語の前後で何らかの変化(多くは成長、時に破滅)
 敵対者~主人公と対立し、より悪い状況を作り込む役割。
 協力者~主人公の奮闘に理解を示し、援助する。
 解説者~いわゆる「狂言回し」。状況説明、物語進行に貢献する。
 トリックスター~状況を掻き回して活性化、結果的に物語を進行させる。
 コメディリリーフ~ちょっとした笑いなどを提供し、舞台に彩りを加える。

一人の登場人物に複数の役割を担わせる場合もあります。

創作作品の著作権配慮
引用
著作権法で認められている「引用」の範囲であれば出典の明記だけで大丈夫ですが、 その範囲を超えて、他者作品(物語)を部分的に借用している場合は、作者/原作者に対して「許可」をとり、出典を明記する必要があります。
いわゆるパロディ
いわゆるパロディは、創造的活動(フェアユース)の一種として許容され得ます。
パロディとは必ずしも原作を批判したり揶揄するとは限りません。 (リスペクト・オマージュという言い方もあります)
ただし、
・表現が全く同一のものや登場人物その他の表現が同じ部分が少なからず存在すること
・具体的な記述について「同じもの」である
・元の作品の中心となる表現についてマネをしている
と認定されると、著作権侵害が認められます。

盗作問題
過去の著作物(戯曲、文学その他)から意図的に盗作し、オリジナルと主張するのは論外ですし、 そんなことをする人はいないと思います。
ですが……自分では「ゼロから考えたオリジナルの設定/ストーリーだ」と思っていても、 過去に鑑賞した文学作品・マンガ、アニメ・ドラマなどの記憶が、無意識レベルで影響している場合もあります。 複数の公正な目で厳しくチェックしましょう。 客観的に見て「これは『原作あり』とすべきだ」という判断になったら、 潔く<脚色>扱いにして、原作者に戯曲化および上演許可を得るのもひとつの手です。 創作性の高い脚色台本は、原作付きであっても創作活動の一種とみなしてもらえます。
歌詞
歌謡曲の歌詞を台本に記載する場合については、音楽関係の著作権についても十分に留意してください。