舞台監督           

仕事内容
一本の演劇作品を作る上で、重要な役割を担う舞台監督。
多くの学校が、劇を作るごとに、役者・他の係を兼ねない専属の舞台監督を置いています。
一方で、部員数が少ない学校では舞台監督を決めない所もありますが、 そういう学校でも、誰かがその役目を必ずしているはずです。
"監督"というと映画監督が思い浮かびますが、映画における(映画)監督の役割は、 演劇では「演出家」の仕事に相当します。
舞台監督の仕事は、一部、後述の 制作担当 と重複します。

スケジュール作り、その行程管理
劇作開始から本番終了までの制作日程を作り、日程通り進むよう気を配ります。
学校行事や各部員の都合(部活出欠)を把握し、スケジュールの調整をします。
・部内部のスケジュール……上演作品決定の期日、本読み~練習~通し稽古(合宿)の日程作り
・対外的なスケジュール……出場校打合会、リハ、本番の日程把握、移動手段・時間の確認
もちろん、演出担当や各スタッフと相談し合いながら決めてゆきます。
(この仕事は 制作担当 と重複します。)

演出担当-各スタッフ間の連絡調整
毎日の活動において、いつ頃どんな練習・作業をするのか決定し、指示をします。
部員数が少なければ、キャストが裏方を兼ねている学校も多いと思います。 それぞれのセクションの都合を聞き取り、調整して部全体の行動を決定するのは舞台監督です。
(この仕事は 制作担当 と重複します。)
役者の稽古の際はト書きを読んだりプロンプターになったりしながら、時間の管理をします。
ストップウォッチを首からぶら下げていることも多いので、 舞台転換や出はけにかかる時間を測ったりするのも舞台監督の仕事になることが多いでしょう。

大会主催者との連絡調整
大会(コンクール・地区発表会)では主催者との連絡調整が必要ですが、顧問の先生とともに、 部の窓口になるのが舞台監督です。
大会本部から書類を受け取り、注意事項などを頭に入れ、全部員に伝達します。
提出書類の締め切りを心得て、部内でパンフレット原稿、装置図、照明仕込み図などについて各係に指示して (期日までに仕上げてもらい)集めたり、 大会本部から「各校1名」などと招集がかかったりした場合に対応したりします。

リハーサルの進行
リハーサルや本番の日の行動予定を決め、予定通りに進められるよう気を配ります。
決めるのは、現地入り、アップ、楽屋入り、道具の移動(車の手配)、食事の時間などです。
バミリテープ、蓄光テープを用意します。
リハーサル中は、時間の経過、残り時間を部員に伝えます。(10~15分刻みが多いようです)
「きっかけ合わせ」が始まったらそれを仕切ります。
「きっかけ合わせ」の主な目的は、緞帳・照明・音響などホールにしかない機材を使って、 日ごろの練習通りに舞台を使えるかどうか確認する作業です。 地区大会、県大会では全ての演技の練習・入退場のすべてを確認するほどの時間はありません。 よい舞台監督は大局的な視点から進行をコントロールして、優先度の高い順に確認項目をこなします。

 ◆大会での上演◇リハ―サルの実際

搬出入、本番の進行
搬出入及び本番中は舞台袖で計時をし、ポイントごとに予定通り進行しているか確認します。
コンクールの場合「上演60分以内」という規定があるので、 予定より押しているようなら巻きを入れるといった判断をして、部全体に伝達したりします。
役者を兼ねない舞台監督は、インカムを耳に当てて、照明室や音響卓などと連絡を取り合いながら、 緞帳の昇降、場転、バトン昇降といった処理のキュー出しを担当することも多いようです。

照明室、音響席とはインカムで連携

部長・演出担当との比較
高校の演劇部には「部長」がいます。
部長は、年間を通じた演劇部の活動計画をまとめたり、顧問の先生・生徒会本部との連絡調整役を果たします。
これに対して舞台監督は、一本ごとの作品における責任者です。
役割の性質は似ている……というか重複するので、部長が舞台監督の役割を担っている学校も多いでしょう。

ひとつの劇に責任を持つポジションには 演出担当 もいます。
舞台監督を立てない学校では、演出担当者がその役目を負い、 シーン割りから練習日程決めまですべて仕切る所も多いでしょう。 それはそれでひとつの形です。
演出担当は、作品の質を高め、よいモノにする役割を担います。 そのため、いろいろな事に「こだわる」役回りになります。 作品を無事スケジュール通りに完成させようとする営みとは正反対の圧力です。
そういう意味でも、舞台監督と演出担当とを別に立てられると有益です。