電球とLED
舞台照明には、明るさに優れるハロゲン電球が多く使われます。
舞台照明用には500W、1KWといった大きな電球が使われます。
LEDは「発光ダイオード」の略語で、発光する半導体素子です。
近年、一般用の照明器具も舞台照明機材もLEDが増えてきました。
同じ程度の明るさを確保するのに白熱電球の10%~30%程度の電力消費で済むので、
合計20A以内で照明・音響を仕込まねばならない普通教室での上演においては強い味方となります。
またその原理上、
・発熱が少ないので触って火傷の心配がない
・燃えやすい大道具のそばに置いても安心
・球切れがないので長寿命
など、従来の白熱電球と比べて良い所がたくさんあります。
LEDの注意点
特長の多いLEDですが、注意しなければならない点もいくつかあります。
調光対応?
電気屋さんで市販されているLED電球は、「調光不可」の製品がほとんどです。
「調光対応」表示がない製品は、単純なON/OFFしかできません。
「調光対応」表示がある製品は、従来タイプの調光器(位相調光方式)で調光できます。
「スライダック」による制御(=電圧を上げ下げして調光する方式)は原理的に不可能です。
調光卓・調光器を自校で持っていて、フェードイン/フェードアウトを活用している学校は、
電球と置き換えるLEDが「調光対応」であることを必ず確認しましょう。
劇場に自校の機材を持ち込む場合も、調光不可のLEDは従来型の調光卓には接続できません。
例えば、「デスクライトを机に置いて、調光卓でON/OFFしたい」という希望も、調光対応ではないLEDライトだと不可能です。
LEDは、調光対応の製品であっても、暗め調整の時に「ちらつき」が目立ちます。
※調光対応ではないLED電球を調光器(調光卓)と接続すると、最悪の場合、故障(発熱→発火)します。
常に光量100%で使用するつもりでもダメです。
最近売られている舞台用のLED照明の多くは、DMX制御対応の製品になっています。
DMX対応の製品は、DMX規格のコントローラー(DMXコンソール)で調光をするので、
従来型(位相調光)の調光卓では制御できません。
◆基本編 照明④◇DMX512►
「明るさ」あたりの費用は高め
対比の一例を示します。(2019年時点)
白熱電球・レフランプ100W 500円 寿命= 3,000時間
LED・調光対応100W相当(10W)1,200円 寿命=40,000時間
「長寿命」をどう評価するか、ですが……。
LEDでも長期間使用し続けると発光素子が劣化してゆきます。
上記の「4万時間」というのは、購入時の明るさの70%になるまでの時間(理論値)を指します。
1日10時間使うと、故障しなくても4000日(約10年)後には明るさ半分程度になるということです。
また、実際には製品の当たり外れも多く、1年もたずに故障したなどという話も聞きます。(発光素子は丈夫で球切れ無しですが、電子基盤その他に不具合が出れば即座に使用不可となります。)