舞台美術の基本        

舞台の名称
劇場・ホールの舞台の様々な場所の名称を紹介します。 (照明・音響関係は省略します)



上手・下手
一般的な劇場・ホールの場合、客席側から見て右側を「上手(かみて)」、左側を「下手(しもて)」といいます。 舞台に立つ役者からすると、客席を向いた時の左手側が上手、右手側が下手です。
客席側の人と舞台側の人が話をするのに、右/左という言い方では混乱のもとになります。「その椅子、もう少し左(下手側のつもり)にずらして。」「こっち?(自分から見て左かと思って上手側に)」「違う違う。」こんな行き違いを避けるために、上手/下手という言い方に慣れましょう。
プロセニアム
多くの劇場・ホールが、舞台と客席の間に額縁状の壁を持っていて、 これをプロセニアムまたはプロセニアム・アーチと呼びます。
プロセニアムのすぐ裏に緞帳、そのすぐ後ろに暗転幕を備えていることが多い。
框(かまち)
舞台の最前面を框といいます。
ステージ上のプロセニアムから框までの間を「張り出し」「エプロン」などと呼びます。
花道(はなみち)
本来は歌舞伎の舞台に設置される「舞台下手から客席を貫く細い通路」を指しますが、 それに準じて、舞台から客席側方壁に沿って歩ける通路的空間を花道と呼ぶホールもあります。
緞帳(どんちょう)
プロセニアムのすぐ後ろに設置され、舞台と客席を分かつ綺麗な幕。
プロセニアムがない張り出し型の舞台には緞帳はありません。(県民会館小ホールなど)
高校演劇は一幕ものが多いので、緞帳の昇降が開演/終演を意味する場合が多い。
緞帳が閉まった状態の張り出し(エプロン)部分を「どんまえ(緞前)」と言います。 (閉まっていなくても、そう言うことも多い)
暗転幕
通常は緞帳のすぐ後ろに設置されている、真っ黒な幕。 暗転中に舞台転換を見せないために使用します。
袖(そで)
舞台のアクティングエリアの左右、喜屋武客には見せない空間を「袖」と言います。
上手袖、下手袖という言い方をします。
袖幕(そでまく)
袖にいる役者などが客席から見切れないように、袖幕を下げています。
舞台手前側から順に、一袖、二袖、三袖……と呼びます。



操作盤
たいていは上手袖または下手袖のプロセニアム裏側にあり、緞帳、暗転幕など電動バトンを昇降する。
影アナウンス用のマイク、モニター画面、インカムなどもあり、公演中は会館スタッフの方が詰めています。
綱元
上手袖または下手袖の横壁面にあり、フェンスで厳重に仕切られていて、 その奥に吊り物用など手動のバトンを昇降させるためのロープが並んでいます。
会館スタッフの方しか出入りできないホールも多く、その場合は、 吊り物の昇降はスタッフへのキュー出しによって対応します。
吊り物バトン
背の高い大道具を転倒防止のため上から固定したり、大道具等を舞台上部から出し入れするために使います。
前後に照明バトンと照明機材があるので、厚みのあるものは吊れません。
一文字幕
照明バトンの照明器具、吊物バトン、天井に飛ばしてあるスクリーンなどを客席から見えないよう、 舞台頭上に上手から下手まで張り渡す黒幕。

中割幕
舞台前~奥を二分するくらいの位置にあり、普段は袖幕のひとつとして使うが閉め切って舞台を前/奥に仕切ることができる黒幕。
ホリゾント
舞台の最背面。白い「ホリゾント幕」を設置することが多い。 ホリゾント幕の前に「大黒」と呼ぶ黒幕を張り渡すこともできます。

大道具・小道具
舞台のセットのうち、仕込みの時に固定して、劇中は移動させない道具のことを大道具と言います。具体的には建物(床・壁・階段・戸の類)、背景となる木や岩や電柱、自動販売機などです。「引っ越しの時に持っていかないものが大道具」と考えるとわかりやすいとか。
それ以外の役者が持ったり、使ったりする物はすべて小道具です。大きくて重くても、冷蔵庫、ソファーやベッドなど家具は小道具です。壁に掛ける時計やカレンダーなどは(劇中、役者が手で触れないとしても)小道具です。