舞台メイクの基本       

舞台メイク
映画やテレビのような「アップ」がなく、演者と観客が一定の距離を保つ演劇では、 必要に応じてその特性に応じた「舞台メイク」を施します。
日常生活で行う「お化粧」との違いは、
・特定の衣装を着けて
・特定の装置、照明のもとで
・観客から見て効果のあるものである
などに注意する必要があるということです。
顔の表情の変化を遠くまで伝えるため、眉・目・口唇の輪郭を強調します。
高校演劇では、高校生の役者が幼児から老人まで演じるので、 「幼顔/老けメイク」の技術もあったほうがよいでしょう。
(ただし、強い照明がなく観客との距離が比較的近い教室公演では、事情が異なります。)

ファンデーション
舞台メイクには、舞台用の化粧品を用います。 三善「グリースペイント」ほか他社製品も含めひとくちに「ドーラン」と呼ぶことが多い。
塗る前に洗顔します。
水を含ませた後固く絞ったスポンジでのばします。
最後に、粉白粉で押さえます。
前橋市アーケード街「白牡丹」で主なものを常備しているほか、県内の化粧品取扱店で注文、購入できます。 近年は通信販売で手軽に購入できるようになりました。
(番号は三善「グリースペイント」のもの)
男性用肌色~26P,27P,28P,35 など
女性用肌色~25P,26P,35,メディウム など
白めピンク~21P,23P,24P,30 など
濃いめ茶色~31P,24,12A,2B など
白、黒、赤、青、黄色、緑といった原色カラーもあります。 ポスターカラーや水彩絵の具を顔に塗ると汗で大変なことになりますから、 少々値が張っても、ドーランの使用を検討してください。
衣装の所でもも述べた通り、舞台照明は 色温度 が低めです。
つまり舞台全体が(昼間の太陽の下に比べ)やや赤っぽいので、 ピンクや赤味はより白っぽく、青や緑は黒っぽく、黒自体はよりグレーっぽく感じられます。
楽屋の鏡の周囲に電球が配置されている通称「女優ミラー」の働きは、 顔の正面を明るくしてメイクしやすくするためだけでなく、 蛍光灯に比べて色温度の低い電球色の下で最も映えるメイクをするための機構でもあります。

みかぼみらい館の画像をお借りし加工しました

ノーズシャドウ・こけ
舞台上の強い照明が当たると顔の凹凸が消えてしまい、のっぺりした顔に見えます。 何もしないと幼い~若めの印象が残ります。
性別・年齢に応じた顔の「彫り」を強調します。
・年少者は額から眉間を明るめに
・男役は鼻柱太め
・年長者は、小鼻からほうれい線の影を強調
・老人は眼窩、こめかみ、頬骨下の影を強調


眉・アイライン
遠くからでも動きが見えるよう、くっきりと描きます。
(奥二重の人は、目を開いた時アイラインが残るように注意)
性別、年齢、個性に応じた強調の仕方で、印象ががらりと変わります。
・年少者の眉は上めに(目との間隔をあける)
・年少者は目じりを強く(顔の下へ、外へ広がるように)
・年長者は顔の中央に寄せるように

適宜、アイシャドーを差します。

チーク・口紅
頬の赤みや唇の色は、登場人物の年齢、健康度、心理などを表現します。
男役の人も、口まわりの動きを見せるため、何らかの口紅を塗るとよいでしょう。

ヘアメイク
舞台に立つ時の注意点
真上からくる地明かりで、役者の髪、特に前髪の下には濃い影を作ります。
一般に、役者の表情を隠してしまわないように、額を出す髪型がよいとされます。 (何らかの必然性があれば話は別ですが)

白髪メイク
高校生が中高年や老人を演じるにあたり、白髪の表現は強力なサポートになります。 できれば手を抜かずに白髪メイクに挑戦するべきでしょう。
絵具や小麦粉を使うよりは、舞台用の「白髪スプレー」「白髪クリーム」などを購入し、活用してください。
スプレーやクリームで実現できるのは、「白髪交じりのグレー」までです。 真っ白な白髪頭を実現するには、かつらの着用を検討してください。