稽古・演出          

読み合わせ
台本を声を出して読みます。
キャスト決めの前に行う場合は、仮の配役を決めて読んだり、 部員全員で台詞一人分ごとに読み手を交代しながら読んだりします。
配役が決まったら、それぞれの役の台詞を担当して読みます。
それと同時にキャストに当たっていない人が柱書き・ト書きを読む形もあります。

単に脚本の朗読をするのではなく、読み合わせの段階で、 台詞に出てくる言葉のアクセントやイントネーション、速さ、ニュアンスなどをチェックし合います。
演出担当は、この段階からどんどん作品イメージの形成・統一をリードして構いません。
読み合わせによって、独りで黙読したのでは気づかなかった誤りや思い込みがあぶり出されます。 (自分では思ってもみなかったことを他者から指摘され、驚くこともかなりあります。)

読み合わせの段階で、おおよその時間を測りましょう。
柱書き・ト書きまで音読すると、読み合わせでかかる時間は、 実際の上演時間の80~90%ほどであることが多いように思います。 (もちろん、劇のジャンル・作者の文体等に大きく左右されます)

立ち稽古
役者が自分の台詞を完全に覚える前に開始して構いません。 その場合は台本片手に動きを付けます(これを「半立ち」と呼ぶこともあります)。
練習計画に従って、<場><景>のまとまりごとにシーン作りをしてゆきます。
演出担当は、できる限り客席の位置から稽古の様子を見て、望ましいイメージを指示します。
予定している音源が揃ったらBGM、SEを入れて稽古をします。
大会向けの練習では、学校でホールと同じ照明操作はできません。 その場合も、照明操作の係は、声で「スポット入ります。」「暗転します」など、 指示をすることで役者と呼吸を合わせる練習を重ねます。

「場面転換」の練習も忘れずに。
転換中の大道具の移動や着替えに時間がかかる・暗転で見えないといった場転特有の問題点に気づけます。

台本捨て
キャストは、台詞を覚えられたら台本を見ずに練習をします。
台本を見ながら動くより自由に、楽に動くことができるようになります。
役作りは、台本を捨ててからようやく始まると言っていいかもしれません。
プロンプター
役者が台詞を忘れてしまった場合、芝居の流れを切らないために(小声で)台詞を教える係を 「プロンプター」といいます。
稽古中も、演技の流れを切らないために早めにプロンプを入れることはアリです。 とはいえ、「忘れてもプロンプターがいるから」という甘えが許されるべきではありません。 プロンプ禁止の練習と、バランスよく使い分けてください。
プロンプターは、本番中は大道具の後ろや袖に控えてプロンプに備えます。 (プロンプターを用意しなくていいようにしっかり準備するのが一番です)

通し稽古
開演から終演まで、流れを止めずに演じ切る練習を「通し稽古」といいます。
本番前に通し稽古を複数回入れるのが普通です。
本番通りの衣装を来て、必要な音響・照明を入れ、大道具・小道具も使うのが理想ですが、 それらが揃っていない段階で、役者が劇を一度通して演ずる「粗通し(あらどおし)」にも、大きな収穫があります。
「通してみて初めて(物語の/台詞の/ト書きの)意味がわかった」というのはよくあることです。
通し稽古では上演時間を測ります。
普段の練習場所より実際の公演会場が広い場合、地区大会より県大会の会場が広い場合は、 (役者の出はけに要する時間が余計にかかるので)上演時間がわずかにのびる可能性があります。

通し稽古の後に、反省会(ミーティング)を行う学校が多いでしょう。 通し稽古で明らかになった問題点をあぶり出し、次回以降の部分練習に活かします。
本番直前、最後の通し稽古は「ゲネプロ」にするのが理想です。

場当たり
本番直前に実際に上演する舞台に上がって、大道具が組み上がった状態で役者の立ち位置や動線を確認することを 「場当たり」といいます。
大会での上演であれば「リハ―サル」の時に大道具の設置をするでしょうから、 そのタイミングで場当たりをすることが多いでしょう。

ゲネプロ/ランスルー
(前説、)幕上げ~幕下げまでを、音響照明、大道具小道具、衣装メイクに至るまで本番通りに通すことを 「ゲネプロ」といいます。(独Generalprobeの略)
ほぼ同義の言葉として英語由来の「ランスルー」という言葉もあります。